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2021年09月27日(公開: 2021年09月27日)
心理学を活用して、視聴者を惹きつける動画を制作しよう
動画制作者の悩みの種は「視聴者を惹きつける動画を制作するにはどうすれば良いか」ということではないでしょうか。制作者としては、魅力的な動画を作るために日々知恵を絞っていることでしょう。
その悩みを解決するなら、動画の制作で心理学の知識を活用する方法があります。心理学を理解すると、視聴者の気持ちに添った動画を制作しやすくなるため、動画を最後まで視聴してもらいやすくなります。
この記事では、心理学の観点から動画を制作する方法について説明します。
目次
動画コンテンツの制作で重要となる「ペルソナ」
動画のコンテンツを制作するうえでは「ペルソナ」を定めることが重要となります。
なお、ペルソナという単語は、もともとは古代ローマや古代ギリシャにおいて使用された言葉で、意味は「仮面」と「人格」の2種類があてられていました。
20世紀前半に活躍したスイスの心理学者「ユング」は、ペルソナという単語を「人間の外的側面」と定義しました。現在、マーケティングにおいて広く利用されている「ペルソナ」という言葉は、心理学がベースとなっています。
「ペルソナ」はマーケティングの基本
マーケティングにおけるペルソナとは「特定の商品やサービスを利用する人の特徴」を指します。
具体的には、特定の商品やサービスを利用する人の年齢層、性別、居住地、職業、年収、趣味、ライフスタイルなどがあり、商品やサービスの内容に応じてペルソナを細かく設定します。
ペルソナは、商品やサービスを販売するときに利用できるほか、動画の制作においても活用できます。
例えば、毎日のリモートワークで疲れ目気味の人向けに、目薬を紹介する動画を制作するとしましょう。その場合のペルソナは以下の通りとなります。
年齢:30代前半
性別:男性
職業:IT企業勤務
年収:500万円
趣味:映画鑑賞、動画の視聴
ライフスタイル:毎日のリモートワークでパソコンに向かう日々。休日は外出を控えていて自宅でタブレットを使って動画鑑賞をすることが多い。目に負担がかかっているためか、疲れ目を感じることが多くなった。
このように、ペルソナを細かく設定すると、動画のシナリオを作成しやすくなります。
シナリオの例としては「日々の仕事でパソコンを使うことが多いうえに、休日はスマートフォンを見ることが多くなっていませんか?目に負担がかかって疲れ目を感じてしまうことがあるかもしれませんね。そんなあなたには、当社が開発した『目薬』がおすすめです」という内容があります。
動画のコンテンツを作成しやすくするためには、ペルソナは細かく設定することがポイントです。
動画構成は「最初が肝心」
動画の構成で重要なポイントは「最初が肝心」という点です。具体的な内容をあげると「最初の5秒」が重要となります。
心理学には「初頭効果」という言葉があります。その意味を簡単に説明すると「最初に見たものほど印象に残ること」を指します。良好な人間関係を築くためのポイントとして、第一印象を大切にすることがありますが、これは動画にも当てはまります。
それを踏まえると、動画は最初の部分が重要といえます。次の項目で、最初の5秒が重要であることについてくわしく説明します。
最初の5秒が重要
動画を制作するうえで最初の5秒が重要な理由は、視聴者の多くは5秒以内に動画を見たいかどうかを判断するためです。
動画が始まってから5秒の間に「面白そうだ」と感じれば、視聴者は引き続き動画を視聴します。逆に、動画が始まってから5秒以内で「つまらない」と感じてしまうと、視聴者は動画の視聴をやめてしまいます。
そのため、最初の5秒間でいかに視聴者の気持ちを惹きつけるかがポイントとなります。
次に、最初の5秒間で惹きつける動画を作るコツを紹介します。
最初の5秒で情報を端的に伝える
最初の5秒間で行いたいことは、情報を端的に伝えることです。商品を伝える動画を制作する場合、商品のアピールポイントを手短に伝えることが効果的となります。
例えば、電動工具の動画を制作する場合「プロも納得の新製品が登場!」というフレーズを入れたり、飲食店でテイクアウトをアピールする動画を制作する場合は「お店のおいしさを自宅でも味わえます!」と伝えたりする方法があります。
先の項目でも説明した通り、動画は最初が肝心です。最初に視聴者の気持ちを惹きつけられるかどうか、という点が動画制作においては重要となります。
インパクトを持たせながら情報を伝える
そのほか、視聴者の気持ちを惹きつける例としては、インパクトを持たせながら情報を伝える方法があります。
企業名や店舗名、または商品名を伝えるとき、インパクトがあると視聴者の印象に残りやすくなります。
例えば、リズミカルな音楽に乗せて企業名を繰り返し伝えたり、お経を唱える代わりに商品名を連呼したりしていると、視聴者としては「このサービスは一体なんだろう?」と疑問に思ってしまいます。
インパクトを持たせながら情報を伝えて、視聴者が「このサービスについて知りたい」という気持ちになったら、認知度を高める作戦は成功したも同然です。インパクトの効果を十分に活用すると、企業名や商品名の認知度アップにつなげられます。
色彩心理学の知識を活かした動画制作
動画を制作するうえでは「色彩」についてもこだわりたいところです。心理学においては「色彩心理学」という分野があり、各色の性質、各色が人の心に与える要素についての研究が行われています。
色彩心理学の面から見た場合、各色の特徴は以下の通りです。
- 赤:活発なイメージ 活力や食欲の増進
- 緑:リラックスするイメージ 安らぎや痛みを鎮める作用
- 青:冷静、知的なイメージ 集中力が高まる効果
- 黄色:元気が良いイメージ 若さが感じられる
- オレンジ:陽気なイメージ にぎやかさが感じられる
- ピンク:不安を和らげるイメージ 愛情が感じられる
- 紫:高貴なイメージ 上品さや気品が感じられる
- 茶色:安定的なイメージ ぬくもりが感じられる
- 白:潔白・信頼のイメージ 清潔感が感じられる
- 黒:強さのイメージ 威厳や強い意志が感じられる
- 灰色:地味なイメージ 控えめな雰囲気が感じられる
例えば、動画を制作するうえで設定したペルソナが「疲れから解放されてリラックスしたい」という条件の場合は、緑色を多めに使用した動画を制作する方法があります。
視聴する側としてはリラックスできるようなイメージとなり、動画から離脱しにくくなる効果が期待できます。
配色の黄金比率に気を配る
動画の色合いを決めるうえで押さえておきたいこととして「配色の黄金比率」があります。
配色の黄金比率とは、ベースカラーを70%、メインカラーを25%、アクセントカラーを5%の割合にすることです。
ベースカラーとは最も広い面積を占める色のことで、動画の場合は主に背景色となります。
メインカラーとは主役となる色のことで、動画の場合は引き立てたいものに使用します。
アクセントカラーとは引き立てる役割を持つ色のことで、ベースカラーやメインカラーとは真逆の雰囲気の色合いとなります。
動画は画像とは異なって動きが生じるため、配色の黄金比率を一定に保つことは難しいといえます。しかしながら、配色の黄金比率は色彩心理学がベースとなっていることから、それを意識して動画を制作すると、視聴者を惹きつける動画ができあがります。
映像効果を高めるテクニック
映像効果を高めるテクニックとしては「クレショフ効果」を利用する方法があります。
クレショフ効果とは、旧・ソビエト連邦の映画作家、レフ・クレショフ氏が発見したものです。クレショフ効果とは、複数の画像を順に見せると、それらの画像には何も関連性がないにもかかわらず、視聴者は複数の画像に関連性を見いだしてしまう状態を指します。
例えば、海と青空の映像を見せた後に、ビールジョッキに冷たいビールが注がれている映像を見せると、視聴者としては「ビールが飲みたい!」という気持ちになります。
もともと、海の映像とビールの映像は全く別々の映像ではありますが、人間の心理によって、海の映像を見ると「夏」をイメージしやすいため、その後で「ビール」の映像を見ると、ビールを飲みたい気持ちが高まってしまうのです。
クレショフ効果を動画で活用する方法としては、動画内で複数の映像を順に映すことがあります。
例えば、ビールの販売数を増やしたいなら、先述した通り、夏の海をイメージする映像を映した後で、ビールの映像を映すことが効果的です。
ある商品やサービスを売り込みたい場合、「どんな映像とどんな映像を組み合わせれば、顧客が『ほしい!』と感じるか」を考えてみることがポイントとなります。
まとめ
動画制作における心理学の活用として「ペルソナの重要性」「第一印象が重要であること」「心理状態にあった色を動画内で使用すること」「複数の映像を組み合わせて連想させること」について説明しました。
心理学の知識を動画に活かせば、視聴者を惹きつけられる内容の動画を制作することが可能となります。
コロナ禍においては巣ごもり生活で動画を視聴する機会が増えているため、動画広告を制作することでマーケティングの効果が期待できます。
しかしながら、動画の制作を強化しようとしているのは他社も同様です。動画広告において他社との差別化を図るためには、心理学の知識を活用した動画制作が効果的です。
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