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2024年07月22日(公開: 2024年07月19日)
運用型広告の成果に繋がる 生成AI時代のクリエイティブ戦略【イベントレポート】
2024年6月13日(木)に、ブルースクレイ・ジャパン株式会社主催で「運用型広告の成果に繋がる 生成AI時代のクリエイティブ戦略」と題したウェビナーを開催いたしました。
前半パートでは弊社リチカの本田が登壇し、運用型広告におけるクリエイティブ改善のポイントと同領域における生成AI活用のトレンドについて解説しました。後半パートではブルースクレイ・ジャパンの目黒氏にご登壇いただき、同社が実践している生成AIを用いたクリエイティブ業務の効率化手法をご案内いただきました。なお、ブルースクレイ・ジャパン株式会社には弊社が提供しているAIマーケティングアシスタントの”RICHKA AiDist”、マーケティングに特化した動画・静止画制作ツールの”RICHKA Editor”の2つのサービスをご活用いただいておりますため、それらの具体的な活用例も併せてご紹介いただきました。
クリエイティブ業務を生成AIで効率化していきたいものの、「そもそも生成AIができること・できないことが分からない」、「具体的にどの業務領域で活用できるのかがわからない」という方には特におすすめの内容ですので、ぜひご一読ください。また、8/6(火)~8(木)の期間にてアーカイブ動画も配信しておりますので、全編をご視聴されたい方はこちらよりご登録くださいませ。
目次
広告運用領域での生成AIの活用実態
目黒氏(ブルースクレイ・ジャパン)
まずは生成AI活用の現状から確認してみましょう。結論、生成AIの活用実績はまだ少ないのが現実です。株式会社キーワードマーケティングが運営している「キーマケLab」による調査では、「生成AIを使用していますか?」という問いに対し「使用している」と回答したのは40%程度でした。
一方で、映像制作や音楽制作を生成AIで完結させるなど、先進的な取り組みに着手している企業の事例も出てきています。このように、今後は生成AIを活用できている企業とそうでない企業の間で格差が広がっていくことが考えられるので、今のうちに生成AI活用を進めておくことが他社との差別化を図る上で重要になるでしょう。
生成AIの「三段階活用」
目黒氏(ブルースクレイ・ジャパン)
では、具体的に生成AIをどのように活用すればいいのでしょうか。
まず必要なことは、人間とAIの役割を分解して考えることです。
具体的には、以下3つのフェーズに業務を分解し、各フェーズの業務をAIが得意なものと人間がやるべきことに区別していきます。
①スキルの平準化
②施策準備
③施策投下
①スキルの平準化に関しては、論理的思考や抽象化思考が求められるマーケティング業務の中で非常に属人化しやすい領域です。この部分に関しては人の手が届き切らない部分をAIで補完していきます。
②施策準備はAIが得意な領域です。このフェーズで実施することは「リサーチ・情報収集」「問題発見」「課題特定」「施策着手」になりますが、主にリサーチ・情報収集の領域でAIを活用します。
③施策投下では、大量生成するもの・時間短縮できるものをAIを活用して補完します。
【第一段階】スキルの平準化
目黒氏(ブルースクレイ・ジャパン)
このパートでは「スキルの平準化」についてより詳しくみていきましょう。
まず、アイデア生成の業務を分解してみましょう。アイデアを生み出す過程では「リサーチ・一覧化・取捨選択」の3つの業務が発生します。
これらを更に「時間がかかる領域」と「人間がやるべき領域」の2つに分類し、前者をAIで効率化します。「時間がかかる領域」に当てはまるのはリサーチと一覧化です。なぜなら、「適切な検索の仕方やサイトを見つける」「リサーチした内容を要約する」などの手法は属人化しやすいからです。この領域をAIを活用して効率化します。一方で、リサーチ・要約した内容を状況に応じて取捨選択するのは「人間がやるべき領域」に該当します。
実際に弊社では、リサーチや分析業務はChat GPTsで代用するようにしています。具体的には、ターゲットリストの作成、ペルソナ作成、法令違反に関する指摘など、さまざまなタスクで活用を促進しています。以降のパートでは、そういったGPT活用の一例を紹介します。
まず、弊社で活用しているコピーライティングGPTsです。社内でまとめたコピーライティングの内容をパスワード化し、データベースに格納しています。この内容に対して質問すると、パスワードで保護された内容を回答する仕組みになっています。キャッチコピーは購買に関するマーケティングのフレームワークであるPASONAの法則を参考にして作成しています。ここまで工夫をすれば、新入社員を超えるアウトプットを出せるようになります。
次に、ベネフィット生成です。ここではChat GPTsを活用していますが、プロンプト上で指定のペルソナがサービスで得られるベネフィットを生成するよう設計しておく、#で必要な事項を定義しておく、などの工夫をすることで、より適切なアウトプットが生成されます。
また、アンケートデータの分析にも活用しています。アンケートデータをネガティブとポジティブに分け、定義された評価で生成するプロンプトを作成しています。これにより、ポジティブな意見やネガティブな意見をカテゴリ別に要約できます。
これらのように、何を出力してほしいかを言語化してしっかりと定義付けされたプロンプトを作ることで、スキルの平準化が可能になります。
【第二段階】施策準備フェーズ
目黒氏(ブルースクレイ・ジャパン)
続いては施策準備です。ここでは、リチカさんのRICHKA AiDistで効率化しています。RICHKA AiDistは参照してほしいページのURLを入力するだけでペルソナを作成してくれます。ただここで重要なのが、そのアウトプットを叩き台として、人間が解像度を上げていくことです。
まずは、そのペルソナが抱えているであろうニーズを分解していきます。ここでは、北の達人コーポレーション代表 木下 勝寿さんの著書「ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング」で紹介されている『ユーザーニーズの9段階分類』を参考にしています。
さらに細かい思考・感情はRICHKA AiDistが出力したバックストーリーを参考にして分解していきます。これにより、適切な訴求のクリエイティブを制作しやすくなります。
なお、Chat GPTsでもペルソナやカスタマージャーニーまで作成することは可能ですが、現時点では汎用的なものしか生成できません。したがって弊社ではリチカさんのRICHKA AiDistを活用しています。
より具体的なアウトプットを出すには、出力結果を参考にしながら更に思考を分解していきます。例えば、「肌トラブルの解決策を探している人」を上記の『ユーザーニーズの9段階分類』に基づいて「対策の必要性に気づいているパターン」や「対策を検討しているパターン」などに分類します。
このようなプロセスを経ながら解像度を上げていくのが人間の仕事です。このようにAIの力と人間の力を上手く組み合わせることで、高い解像度のアウトプットを得られるようになります。
【第三段階】施策投下フェーズ
目黒氏(ブルースクレイ・ジャパン)
最後に、施策投下フェーズです。ここでも、RICHKA AiDistを活用しながら広告文を生成しています。RICHKA AiDistにはボタン一つで広告文を大量に生成してくれる「キャッチコピー機能」があるので、まずはこの機能を使って大量に広告文を生成します。
さらにアイデアが欲しい場合は、RICHKA AiDistで出力した文章を基に新たに生成していきます。なお、ここでもコピーライティングGPTsを活用できます。先程の広告文に加えて、参考にする言い回しを入力することで、追加で広告文を生成できます。このように複数のツールを組み合わせることで、さまざまな広告文を大量に生成することが可能です。
「AIで生成した広告文で本当に成果が出るのか?」と疑問に思われる方もいるかもしれませんが、弊社では上記のような取り組みを通じて「広告感がない広告文」を効率的に生成し、実際にインプレッション数を稼ぐことができています。
ここまでの説明で、広告文の大量生成のイメージは掴めたかと思います。続いて、バナー作成のケースについても説明します。バナー作成では、「テキスト→デザイン→CTA」の3つのステップに分けて検証していきます。
まず、同一デザインで複数テキストを回していきます。次に、その過程で見つかった勝ち訴求と複数デザインを掛け合わせてテストします。最後に、ここまでで残った勝ちパターンを複数のCTAで検証します。以上のプロセスがバナーを回す際の定石3ステップとなります。この定石3ステップを活用することで、フォーマットさえ用意すれば大量生成のテキストで施策を実行に移すことが可能になります。
実際に検証を進める時は、リチカさんのクリエイティブ制作ツール、RICHKA Editorを活用します。RICHKA Editorには広告バナーのフォーマットがいくつも格納されているので、それらを用いて「同一デザイン×複数のテキスト」で検証を進めることが可能です。
このスキームを構築することで、弊社では一つのバナー制作における効率性が5倍に向上しました。
まとめ
運用型広告のクリエイティブは摩耗しやすいため、量産・検証のプロセスを地道に積み重ねる必要があります。一方で、その過程で生じる業務に対して全て人力で対応するのは非常に大変です。業務生産性を高め、より効率的に広告成果が出るクリエイティブを見つけるためにも、生成AI活用を検討してみてはいかがでしょうか。その検討を進める際の一助として、本記事がお役に立ちましたら幸いです。
なお、弊社リチカは本記事でご紹介したRICHKA AiDist・RICHKA Editorを用いて、多数の広告主・広告代理店様のクリエイティブ業務を支援しております。ご関心をお持ちいただけましたら以下の事例記事も併せてご一読くださいませ。
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