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2021年09月29日(公開: 2021年09月29日)

顧客体験向上につながる動画とは?どう作る?どう運用する?

高速インターネット環境の普及と、モバイル端末を中心としたデバイスの多様化、1人1台以上といった個人所有の一般化、配信プラットフォームの成長などにより、従来はテキストによる情報のやりとりが中心であったインターネット界において、近年は動画ベースのやりとりが増えてきました。

日常的にネット動画を楽しむ人も多く、いまやオンラインでの動画視聴体験は生活の一部として当たり前になっています。このように、一般生活者にとってネット動画がごく身近なものとなるにつれ、マーケティングにおける動画活用の重要性もうなぎ上りとなり、広告から顧客コミュニケーションまで、幅広く利用されるようになりました。

現代のマーケティングにおける主流は動画と言っても良いほど、その存在感は年々増しており、今後本格的に普及していく5Gで、その流れはさらに加速化するとも見込まれています。

動画の活用はさまざまな効果をもたらしますが、とくに近年は顧客体験向上に寄与する点を評価する向きが高まっています。そこで今回は、中でも顧客体験向上施策として用いられる動画について、なぜそれが有効と考えられ、どう作成・活用すれば良いのか、すぐに活かせる実践ポイントまでカバーし、詳しく解説していきます。

動画が顧客体験向上に適する理由

そもそもなぜ顧客体験の向上に動画が有効と考えられ、注目されているのでしょうか。顧客体験(CX・Customer EXperience)を考えるには、まず現在の顧客行動、一般生活者らがどのような暮らしを送り、意思の決定や実際の行動を起こすようになっているのか、正しく知る必要があります。

スマートフォンによる動画視聴の普及

総務省の「令和3年版情報通信白書」を参照すると、情報通信機器の世帯保有率はスマートフォンに代表されるモバイル端末が際立って高く、9割を超えるまでになっています。普段、私的な用途で利用している端末については、スマートフォンがやはり89.4%と圧倒的に高く、テレビの50.8%やノートPCの48.5%を大きく上回りました。

年齢が高いほど、テレビやノートPCの利用率が高い傾向にはあるものの、60歳以上であっても81.0%がスマートフォンを利用するなど、すでにスマホの浸透は若年層にとどまらない傾向と言えるでしょう。20代・30代では約95%がスマートフォンを日常的に、私的用途で用いていました。

こうした端末で普段、どんなネットサービスを利用しているか調査した結果では、「インターネットショッピング」が73.4%でトップになりましたが、「動画配信」も上位につけ、広く一般的な情報収集で用いる「情報検索・ニュース」の57.9%に次ぐ、55.6%となっています。動画配信は、ほぼ年齢が上がるにつれ利用率が低下する傾向にありますが、20代では70.5%まで伸びていました。

ネット動画の視聴はコロナ禍を経て、より幅広い世代に日常的な体験として広がり、接触時間も顕著に延びてきています。生活に密着したメディアとなれば、当然そこで得られた情報や、視聴を通じて生じた感情の記憶量も多くなり、リアル世界での購買行動など、生活者が自然と行っている数々の意思決定に与える影響も非常に大きなものとなってきます。

そのため、今日のマーケティングではネット動画の活用が不可欠であり、ビジネスにおける顧客体験向上を考える際にも、動画を大いに意識すべき状況となっているのです。

動画コンテンツの特性

動画は、テキストや静止画に比べ、圧倒的に多くの情報量を、分かりやすく短時間にまとめて伝えることができるものです。一説には、動画にした場合、静止画の約5,000倍の情報量、1分で180万字程度のテキスト情報を伝えることができるともされています。

どんなに優れた表現で、熱く詳しく魅力が語られていても、メールマガジンやDM、Webページなどでそれだけ膨大なテキストや静止画を提示されては、途中で見るのを止めてしまう人がほとんどでしょう。つまり、静止画像やテキストは情報を読み取る、受け取るという面で、動画に比べ負荷が圧倒的に高く、同じだけの情報に触れてもらおうとすると、強いストレスを感じたり、興味関心が減衰したりしやすい、顧客体験(CX)を悪化させやすいという問題があるのです。

動画は豊富な情報をストレスなく瞬時に伝達し、顧客が欲しい情報を手間なく得られる仕組みを作り出せます。また、静止画よりも目を引き、興味関心を高く保ちやすく、記憶にも残りやすい特徴があり、言葉では伝えることが難しい抽象的イメージや雰囲気、細やかなニュアンスまで表現できるという強みもあります。

実際に生きている世界での体験と同様、視覚や聴覚を中心に人間の五感に訴えかけられ、ストーリー性やエンターテインメント性、インパクトを持たせれば、情報収集といった目的を離れても、体験として楽しんでもらえます。

動画によるCXの向上

顧客体験(CX)とは、商品・サービス・企業ブランドなどと顧客が触れ合うさまざまな接点において、顧客側が感じる合理的な価値であり、感情的な価値の体験、好感度や満足度のことと考えられますから、体験のかたちをこのように変化させられる動画は、まさに顧客体験向上を導くものと言えます。

心地よい体験やCX向上で生まれた共感、ファン意識は、ブランドや企業イメージの改善につながり、商品・サービスへの認知向上はもちろん、信頼醸成が促され、継続的に購買行動や契約において選ばれる、口コミで良い評判が加速度的に拡散されるなど、あらゆる面でビジネスにプラスの効果をもたらすもととなってくれます。だからこそ今、顧客体験が重要視され、それに最適な媒体である動画の活用が不可欠となっているのです。

動画の普及

動画というメディア手段がいかに顧客体験向上に適したものであり、現代の顧客行動、一般生活者の暮らしに照らし合わせても、身近なものとして十分に定着しているため、幅広い層へのアプローチが可能になっていること、強い影響力を持つようになっていることが分かりました。

動画の起源

しかし現在のような動画を取り巻く環境が、はじめから存在したわけではありません。動画そのものの誕生まで遡ると、1891年のトーマス・エジソンによる「キネトスコープ」や、1895年にフランスのリュミエール兄弟が生み出した「シネマトグラフ」での映画の誕生といった事象が歴史的に重要なものとされています。

19世紀のカメラ技術の発達とともに画像が動くという画期的な世界が開かれ、さらに白黒・サイレントの時代から音と映像が同期したトーキーに、カラーへと開発が進み、20世紀の到来とともに発展が進んでいきました。やがてテレビの全盛期が訪れ、さらに現在のようなネットでの動画配信時代へと入っていきます。

ネット動画の始まりと発展

ネット動画そのものは、実はインターネットの本格的普及が始まった1995年頃には、すでに存在していました。しかしまだ限られた学術機関などでの利用が大半で、一般の通信速度は遅く、従量制でもあったため、データ量の多い動画が広がることはありませんでした。2000年頃になってブロードバンドが広がり、一般にもネット動画視聴の環境が整い始めます。

しかし、まだ前衛的な取り組みでチャレンジングな企画という性質が強く、注目度の高い動画コンテンツの配信時にはアクセスが集中、サーバーダウンとなるなど、安定して動画を楽しめるという状況ではありませんでした。

21世紀に入ると、インターネット料金が従量制から定額制へ、使い放題がスタンダードになってきます。価格競争も進み、人々が当たり前にネットでつながる時代となりました。そして2005年にはYouTubeやGYAOが誕生、動画サービス、動画共有サービスが多数誕生し、ネット動画が多く生み出され、また視聴されるようになっていきます。

通信環境は高速性・安定性を高め、そしてスマートフォンやタブレットなどモバイル端末が広がり、PCに限定されないデバイスの多様化と高機能化が進展、通信インフラ、一般生活者の利用デバイス、プラットフォームの全てが環境として整い、ネット動画がいつでもどこでも視聴できる現代のような世界が生まれました。

動画発展の歴史はネット発展の歴史

動画が顧客体験向上に大いに寄与するものとなった背景には、こうした普及の歴史があります。動画がいかに多くの情報量を豊かに運ぶことができるものであっても、ダウンロードに時間がかかる、再生すれば料金がかさむ、視聴中に途切れることが頻繁にあり利用ストレスが多い、などといった状況下では、とても顧客体験の向上にはつながりません。

動画コンテンツを用意しても、クリック再生するユーザーは少なく、自動再生されれば逆に不快感を覚えるユーザーが多かったことでしょう。環境が整ってからも、自然に見て楽しめるという慣れや理解、かつてあった抵抗感などが薄れた行動としての日常化が進まなければ、CXへの有用性はまだ十分ではありませんでした。

現在はそうした状況が変わり、あらゆるシーンでネット動画の視聴が日常へと浸透、誰もが楽しめるものになって、オンライン上の動画広告も急増しました。かつてはテキストベースだった料理レシピなども、動画で直接やり方を見て学ぶ人が増え、発信の主流・注力ポイントが動画へと移行してきています。

動画のプラットフォームや、さらなる表現体験を可能にする技術の開発改善も日々進行しています。没入度の高いVRやAR、360度動画、インタラクティブ動画などはその代表的な例であり、これまでにない体験をユーザーに提供することで、その新奇性、わくわく感から、さらなる顧客体験向上を目指すことができるものにもなっています。

このように、エポックメイキングなポイントを経験しながら進んできた普及・浸透と、さまざまな技術的進化が、動画と顧客体験向上のつながりには大きく関係しています。

顧客体験向上に役立つ動画の活用場面

ビジネスにおいて、さまざまに生み出すことが可能となった顧客接点で、実際の顧客がどのような体験をし、どういった感覚・感情を抱くか、この顧客体験(CX)をより良いものにしていくことが重要になっていることは先に確認しました。商品やサービスそのものの機能価値やスペックはもちろん重要ですが、それだけで多くの競合が存在する市場での差別化を図ることは、今日、非常に難しいものとなっています。だからこそ、注目すべきはこの顧客体験なのです。

とはいえ、何から着手すれば良いか、動画を使うことが効果的でトレンドになっていることは理解できても、どのように使えば良いのか、分からないという方も多いでしょう。そこで、どうすれば顧客体験向上に役立てていけるのか、具体的な動画の活用方法について、解説していきます。

認知向上を目指すならSNSの活用

まず、認知体験に課題がある場合は、SNSにワンクリックで再生される埋め込み動画をアップし、情報提供を行うアプローチなどが有効です。この際、画面いっぱいに魅力あるブランドイメージを表現できるInstagramのストーリー広告、インパクトのある表現や商品活用の豆知識などが好まれ拡散されやすいTwitterなど、適した環境と動画タイプを使い分けることも重要です。

SNSは拡散効果が高く、とくに投稿コンテンツに埋め込まれた動画は、多くの人の目に触れ、手間なく隙間時間に楽しんだり、情報を得たりするものとして機能し、これまでよりも企業や商品・サービスを身近に感じてもらいやすくなるメリットがあります。短尺の記憶に残りやすい動画、他の人にも思わず見せたくなる動画をアップしていくと、認知向上とファンの醸成を伴った、潜在顧客を含む幅広い対象での顧客体験向上が期待できるでしょう。

場面に応じた適切な動画コンテンツ

すでに商品・サービスを認知している段階から、実際の購買行動につなげるポイントや継続利用によるファン醸成を図る点などでのCX向上には、ある程度以上の長さをもったハウツー動画の活用などが有効です。例えば、メイクアイテムを訴求する場合、それを使ってどのように変身できるか、実際のメイクアップシーンを配信するといった方法があります。ターゲット層に人気の高いYouTuberなどインフルエンサーを起用し、ファンが違和感なく楽しみながら、より商品を使って満足できる流れを生み出すなど、広告感が薄い役立つ動画とすることがポイントになります。

ハウツー動画の他にも、使用中のユーザーや、購入を本格的に検討しているユーザーらに、より詳しい情報を提供するものとして、開発背景をストーリーで伝えたり、動画内で興味関心のある部分に触れると、それに応じてさらに詳しい解説動画が再生されるなど情報コンテンツがリンクしていく複層構造のコンテンツにまとめたりすることも有効に働きます。とくに後者のような、視聴ユーザーの好みに応じて再生が変化する動画は、長尺であっても離脱防止を図りやすく、個別に最適化された体験を創出できるため、視聴後の満足度も高く、顧客体験向上をダイレクトに狙えると考えられます。

動画から商材への動線を

商品やサービスを紹介した動画から、BtoBでの商談へと進めたり、ECサイトでの実購買につなげたりする動線において、わざわざ改めてアクセスしなければならない、問い合わせを行う必要があるといった仕組みになっていると、離脱を招きやすく、顧客の購買体験としても快適性を感じさせられない問題があります。そこで、これを動画コンテンツから直接コマースサイトなどへ遷移できるかたちへ改善すると、顧客体験の向上になります。

またこれに関連し、昨今ではライブコマースやZoom接客、インスタライブでのブランド・企業紹介といった動画活用も広がっており、こうした動画に社内の開発者本人など、素人感のある人間があえて出てくる、自分の言葉で、私たちと同じ目線で話していると感じさせるようなコンテンツに支持が集まる傾向が出てきています。

ダイレクトに商品ページへ遷移したり、タッチだけで購入や詳細情報など希望の操作が行えたりといった機能設計面の高度化と、動画内容そのものとしては手を加えすぎていない生身感、自然で広告感・企業感があまりなく編集性も薄いと感じられる雰囲気が備わっていること、この2つが同居することで、時代に合った顧客体験向上が導かれる事例も報告が増えています。注目のトレンドとして意識しておくと良いでしょう。

顧客体験向上のための動画作成ポイント

ここまで、顧客体験の重要性を説明しました。以下では、顧客体験の向上につながる動画作成のポイントを説明します。

ポイントを抑えて顧客にとって有益な動画の作成を目指しましょう。

ターゲットの明確化

実際のCX向上に寄与する動画作成を開始する場合には、まずそのターゲットとなる顧客像を明確化することが第1のポイントになります。主な年代・性別・嗜好の属性は、自社商品・サービス・ブランドとの関係性段階はどこにあるのか、この設定ができる限り具体的に、はっきりしたかたちで行えているかどうかで、もたらされる効果の度合いや施策成否が決まると言っても過言ではありません。顧客像を知らずして、その体験向上など不可能と認識しましょう。

プラットフォームやコンテンツの決定

顧客像と関係性段階が絞り込めたら、それに有効なプラットフォームを決定します。20~30代女性の初期認知段階ならば、Instagramなどが動画掲出先として有効と考えられますし、BtoBの既存取引先顧客ならば企業サイトやメールと連動した動画展開を、YouTubeなども活用して考えることが適するケースが多いでしょう。

ターゲット顧客とプラットフォームが決まれば、作成すべき動画タイプも絞り込まれてきます。ブランドを広く身近に感じてもらうことを狙ったインパクトやユーモアのある短尺動画、興味関心層をさらにファン化する生配信動画や開発秘話などを伝えるストーリー動画、現場でありがちな悩みに即応し、すぐその問題を解決できるソリューションとして企業担当者にメリットを分かりやすく伝えるシンプルでコンパクトな動画など、形態や構成内容、テイストを決定していきましょう。

購入後の顧客に「ありがとう」を伝える好感度アップの動画や、契約・導入後、一定期間を過ぎた後に届ける、さらなる活用サポートのハウツー動画など、アプローチシーンは多岐にわたります。購入や契約に至れば終了、その後にはもうないなどと考えていては、“継続”の関係性を目指す顧客体験向上は達成できません。さまざまな段階、対象を想定し、しっかりと動画を作り分け、出し分けることが重要です。

動画作成上の注意点

また、動画の活用で目指す顧客体験の向上は、すぐに結果が出るケースばかりではないことも考えておかねばなりません。継続的に動画をアップし、チャンネルとして運営、中長期的目線で取り組み、時代や社会背景を織り込みながら改善を加えていくことが必要です。

動画プラットフォームも日々進化していますから、それらの動向にも敏感になり、積極的に新機能を用いたコンテンツとして作成することも大切なポイントです。企業姿勢やミッションポリシーなど、重要な軸はぶれることなく維持すべきですが、その中で常に顧客に対しては新しいアプローチを、斬新で魅力的、他にない素晴らしい体験を提供できないか、考えていくことが大切なのです。

まとめ

いかがでしたか。「モノ消費よりコト消費」といった言葉が市場のキーワードとなって久しい今日、顧客体験そのものが商材になるほど、その向上を目指す施策は重要度を増してきています。その中で動画が果たす役割は非常に大きく、今後もアプローチの方法として多様化しながら、さらに存在感を放つものとなっていくことは間違いないでしょう。もはや動画を活用しないことこそビジネスの致命的リスク、マーケティングの放棄という時代に突入しつつあるのです。

顧客体験を見直し、動画を賢く活用することで、結果の出るマーケティング展開を目指しましょう。

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