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2021年09月29日(公開: 2021年09月29日)

OOHと動画広告の相性は抜群!大きな成功を引き寄せられる理由とポイント

日本語では一般に屋外広告と呼称されるOOH広告は、看板や街頭ビジョン、交通広告などを含む多彩なメディアで、壁に書かれた告知としての歴史を起源として遡れば、推定約4万年前の洞窟壁画にまで行き当たるともされる非常に歴史のあるメディアです。現代とより直接に通ずる広告として考えても、街中の看板や配布チラシなど、ごくシンプルなものについては、新聞や雑誌、TV、ラジオといったいわゆるマス4媒体とされるマスメディア広告よりも、古くから私たちの身近にあって生活を彩ってきた媒体と言えるでしょう。

一方で近年はデジタル技術と組み合わさり、インターネット広告とともに広告出稿額を伸ばしてきているというメディアでもあります。OOHは古くて新しい、ユニークで注目すべき分野なのです。動画コンテンツとの相性も良く、昨今のマーケティングではOOHと動画の掛け合わせによる成功事例が多くみられるようになりました。そこで、今回はこのOOHと動画広告について取り上げ、今知っておきたいポイントを中心に解説していきます。

OOHと動画の相性が良い理由とは?

OOHとは「Out of Home」の略であり、一般生活者が自宅以外の場所、屋外において接触するあらゆる広告メディアの総称です。街頭の大型ビジョンや看板はもちろん、駅や空港などにある広告、電車やバスの中吊り広告、新幹線、飛行機、タクシーなどで見られる車内広告といった交通広告、ビラ、ティッシュなどとともに配布される広告、広告がラッピングされたバスやトラック、工事中の囲いを活かした広告なども該当します。

OOH広告のメリット

OOHは不特定多数の人が行き交う街頭という空間、移動中などを対象とできるため、認知度を広げる効果が非常に高く、幅広い層にアプローチしやすい特徴があります。TV CMやインターネット広告など一般的なメディアでは、視聴者がそのチャンネルやページから離れてしまえば、広告コンテンツを見てもらうことができません。

しかしOOHの場合、その屋外空間にいる人にとって、その場を離れない限り、視界に入る場所で掲出された広告コンテンツがあり続けることとなるため、とくに関心のなかった層、何かを見たい知りたいと考えていなかった層に対しても、積極的にアプローチすることができます。これは他のメディアにないメリットであり、その独特の視認性の高さをもったOOHにおいて動画広告が流れると、静止画以上に自然と人の目を集められるという優れた効果が見込めます。

横断歩道で信号が青に変わるのを待っている時間、ウィンドウショッピングをしながら次の行き先をぼんやりと考えている時間、到着地点まで少し時間を持て余している移動中の車内時間など、人間が外で行動している時間には、思う以上に隙間時間が存在します。ですがその隙間時間も、くつろいだ自宅内などとは異なる意識、程よい緊張感をもっているため、無意識にも何か変わったことはないか、周囲の情報に注意を払う機能が働いています。人間の注意は、止まったものよりも動いているものに行きやすい性質がありますから、OOHに動画コンテンツを導入するのは非常に有益で相性が良く、隙間時間で効果的に人々の注目を集められ、認知持続性も高く保つことができるのです。

また、屋外の大型ビジョンやデジタルサイネージを取り入れた交通広告、宣伝カーなど、デジタルのOOH媒体、高機能なOOHが増えてきていることも、動画との相性を高めていると言えるでしょう。出し分けやネットワーク化も容易で、ある特定の場所の瞬間を演出するというOOHならではの特色も活かし、戦略的なマーケティングでの展開が可能となるでしょう。限定された瞬間に出会えたコンテンツとしてTwitterなどSNSとの相性も良く、アイデア次第でSNSプラットフォームも巻き込んだ高い拡散効果・大規模な認知拡大を狙うこともできます。

OOH広告の効果

通勤・通学などで多くの人々に利用される駅構内や、電車・バスなどの車内広告では、利用者にほぼ毎日、繰り返し広告を届けることが可能となります。ターゲットも絞りやすく、狙った層に対する反復訴求効果を見込むことができ、動画で印象に残るアプローチができれば、それに反復的に接触することでより好きになっていく「単純接触効果」と呼ばれる心理学的効果も期待できます。

さらにOOHは他の媒体に比べ、媒体規格による規制が少ないという特徴もあり、動画による表現としてより自由に、クリエイティブな特色を出して展開させやすいメリットもあります。15秒、30秒といったTV CMのような時間枠もなく、再生させる画面の数や形態、連動などについても幅広い可能性の中で設計することが可能です。長い通路を活かした幅広のインパクトあるコンテンツ、連続したビジュアルを形成する複数動画を組み合わせた空間演出など、これまでにない表現を生み出しやすいでしょう。飛行機や新幹線、タクシー内などの広告では、より個別性を高め、プライベートに、ある程度じっくりとまとまった時間をかけて接触するようなクリエイティブでの訴求も実現できます。

このように、OOHと動画を組み合わせることで、その広告は従来の枠にとらわれず、より高い視認性をもって、最適な表現とアプローチを追求できる良さと強みを生み出すことができるのです。

動画広告が出稿される屋外の場所について

OOH広告は、屋外の実際に人々が日々行動する導線上に存在するものであり、その場所に居合わせた人を丸ごと対象にできる点が特徴です。そのため時間帯など発信タイミングとともに、場所が非常に重要な意味を持つメディアになります。その点でローカルなメディアであり、エリアターゲティング性に優れたメディアであるとも言えるでしょう。

出稿する地域や場所について

例えば、同じ街頭大型ビジョンに動画広告を出稿するにしても、渋谷と品川ではまるで意味が違いますし、多摩の商業施設ビジョンとなれば、また対象層が変わってきます。若年層が多く集まる場所なのか、ビジネスパーソンが多いのか、家族連れや主婦層か、はたまた大学付近で学生が多いのかなど、時間帯と組み合わせた街の雰囲気、主要層というものがありますから、これを加味し、いつどこに出稿するか、分析をもとに戦略的な選択を行うことが重要になるでしょう。

交通広告でも路線や駅を絞り込むことで、ターゲットが多く存在する特定の空間とタイミングに投下することができるようになります。店舗付近や周辺エリアを対象とすれば、来店率を向上させる動画広告も可能でしょう。このようにOOHでは場所の分析と的確な選択が重要ですが、そのポイントを誤らなければ、それだけ確実性の高いターゲティングが実施でき、費用対効果の高いマーケティングを展開することができます。

タクシーやエレベーター、公共施設・商業施設のトイレ内など、よりプライベートな空間を選択すれば、繁華街のようなマスへの認知は見込めませんが、利用層への強制視認性は圧倒的に高まり、個別にアプローチした記憶にも残りやすいものとなるでしょう。

出稿する場所の性格にも注目

動画として作られたクリエイティブの尺や機能と場所の組み合わせも、効果を左右する大きなポイントになります。街頭や駅構内など、人々が忙しく行き交う場所であれば、短尺のインパクトある動画で興味関心を惹くことが重要ですし、中程度からやや長めの尺でじっくりと情報を伝えたいなら移動車両内のメディアや、待ち時間の長い病院内ディスプレイなどが適しています。

車両側面を画面としたアドトラックなどは、この瞬間に出会えた特別感が大きく、SNSなどで話題になりやすい、共有・拡散されやすい傾向があり、ターゲット層の多い場所をルートとして選んで周回すると効果が高まります。少し立ち止まれる商業施設内のサイネージや、バス停設置のサイネージなどでは、接触ユーザーが求める情報とあわせて提供するスタイルや、双方向型の動画クリエイティブも向きます。

このようにOOHでは場所の概念が非常に重要です。いまやこんなところまで活用できるかと思えるほど、あらゆる屋外シーンの空間にまでその選択可能性は広がっていますから、柔軟な発想で掲出シーンをイメージし、作成した動画広告と場所との最適な組み合わせを実現させることが成功の秘訣になります。

OOH動画広告を作成する際のポイント

OOHの動画広告を実際に作成する際には、どんな点に注意し、どのように進めていけば良いのでしょうか。

ターゲットと出稿場所の絞り込み

まず、どのような広告においても言えることですが、何の目的で、誰をターゲットに展開するのか、狙いを明確にすることが大切です。OOHはとくにメディアとして選択肢が多彩なものになりますから、この広告出稿目的、獲得したい成果をはっきりさせた上で、それに適した掲出先や展開方法を考えていかねばなりません。狙いが曖昧なままにスタートしたマーケティングでは、必ず失敗します。できる限り具体的に、目標を設定しましょう。

狙いが定まったら、それに適したOOHの動画広告として出稿する先と形態を選定します。認知拡大が目的でOOHのリーチ力に期待するなら、街頭の大型ビジョンなどが適します。ある程度まとまった情報コンテンツとして興味関心を惹き、ターゲット層に繰り返し接触したいなら、電車の車内ビジョンといったメディアが良いでしょう。限定された富裕層をターゲットとしてよりプライベートに迫りたいなら、ホテルリムジンのビジョンや飛行機内ビジネスクラスの画面広告といった手もあります。

クリエイティブ作成上の注意点

OOHでは、それが置かれている場所や周辺エリアの特徴、空間性がとくに大きな意味を持ちます。加えてその空間の瞬間を演出するという点で、時間帯もしっかり選定すべきです。これら出稿先メディアの特性や可能性と目的を十分に合致させ、ターゲットがどのように動画広告と接触するか、リアリティのある生活の流れから詳しく把握し、クリエイティブもそれに適した内容で作成していくことが何より重要です。

なおOOHの場合、基本的に音声はオフで訴求できるように動画を作成すべきです。屋外広告ですから、雑踏の中で音はかき消されてしまう可能性がありますし、プライベートな空間を用いたものや公共交通機関の車内などでは、周囲に配慮して音を出さないのが一般的だからです。

もちろん街頭ビジョンで効果音を用いることが有効である場合や、アドトラックで音楽を流すなど、例外的なケースもあります。しかし、そうした場合も騒音と受け取られないようにすることや、情報自体は音が十分に届かなかった対象にも伝わることを意識しなければなりません。動的なテキストや映像表現などで工夫し、伝えるべき情報は視覚中心で設計しましょう。

また、OOHはターゲットがその場に居合わせれば、必ずその目に触れさせられることができる、強制視認性が高いメディアです。このことは大いなるメリットですが、そのことを意識して動画制作を行わなければ、ブランド毀損などかえって悪影響をもたらしうる結果にもなります。

どういうことか、少し詳しく説明しましょう。YouTubeで動画広告を公開するといった場合、ユーザーは自分の意思でそれを視聴します。一方、OOHの動画広告は出会い方として、本人の意思に関係なく目に入る、自身で選んだわけでもなく相手から情報を与えられるというかたちになります。この点で前者はPULL(プル・引き)型、後者はPUSH(プッシュ・押し)型とも言われます。

一般にPUSH型となるOOHでは、好む好まざるを問わず接触させられているわけですから、ターゲットがそうした出会い方でも不快感を抱かないこと、かえってその降ってきた偶然を好ましく感じる、お得に感じるようなコンテンツにすることがポイントとなります。

PUSH型で一方的に流される動画広告として代表的なTV CMの場合は、番組や時間帯でオーディエンスを想定しますが、OOHの場合、さらにその設置場所という要素を加えて出稿計画を立てられますから、分析を丁寧に行えば、悪印象となることを回避し、より最適化した動画広告との接触体験を作り出すことができるはずです。また、近年増えてきているタッチパネル化された店頭サイネージなど、双方向性のあるOOHでは、PUSH型とPULL型の両方の性格をもたせた展開も可能ですから、情報によってはそれらの活用も考え、動画の作り分けも適切に行いましょう。

OOH広告の実例

OOHでしかできない表現としての動画広告を追求することも、成功を引き寄せるポイントになり得ます。例えば、フジテレビジョンは「世界フィギュアスケート選手権」の番組宣伝で、JR品川駅自由通路にあるJ・ADビジョンを用い、話題性の高い動画広告を掲出しました。65インチのデジタルサイネージが左右の柱の上に片方向両側11面ずつ、44面あるスケールを活かし、連続するサイネージ間を人気選手らがジャンプなどの美しい演技をしながら滑り抜ける姿を放映、その空間がまるで本物のスケートリンクになったかのような演出で、迫力とスピード感をもって表現したのです。他のメディアでは絶対にできない広告表現であり、接触体験としても非常に新鮮で、幅広く注目と好感を集め、成功を収めました。

海外の事例では、British Airwaysがロンドンのピカデリーサーカスに設置された大型ビジョンで、放映する動画広告とその上空を飛ぶ本物の航空機が連動するという仕組みのクリエイティブが話題になりました。上を見上げて指差しながら追っていく男の子の動画と、画面後方に広がるリアルな空を飛ぶ航空機が見事に組み合わさり、虚実の混じるような不思議な体験が見る者を強くとらえます。場所とその瞬間に重要な意味があり、屋外において広く訴求するというOOH広告の特性を最大限に活かしたものと言えるでしょう。

もう少しアイデアとして広くみられるタイプで、応用しやすいモデルとしては、電車内のビジョン広告でスマートフォン連動の仕組みを動画内に入れ込むというものが挙げられます。動画の終わりに検索ワードを訴求したり、SNSによるシェアでインセンティブを提供したりと、多様なプロモーションマーケティングで拡散、相乗効果が期待できます。利用者の多くがスマートフォンを手に乗車しており、移動中の隙間時間を車内ビジョンと手元画面からの情報収集などに充てる傾向が強いことを上手く利用した手法ですね。

なお、ある程度長さをもった動画広告も適する車内ビジョン放映の場合、その日の天気情報とあわせて商品の活用方法を訴求したり、時間帯と路線を踏まえて食料品広告を、その商材を用いたレシピ紹介などとあわせて動画で示したり、受け手にとってすぐに役立てやすい情報を含めることが有効です。

このようにOOHの動画広告作成においては、出稿目的を十分に明確化し、受け手の視点に立って接触の仕方を詳細にわたり検討すること、そこから考えられる最適な表現はどのようなものか、他のメディアでは不可能な新鮮味のある体験を提供することはできないか、考えていくことが大きなポイントとなるでしょう。

まとめ

いかがでしたか。昨今、注目度を高めているOOHと動画広告について解説してきました。なぜOOHと動画の掛け合わせが魅力的なのか、どのような場所でどういった訴求が可能なのか、コンテンツとなる動画はどう作成すべきなのか、基礎となる理解が形成できたのではないかと思います。

OOHでは、かつて困難であった効果測定や細やかな出し分け、管理設定なども、デジタルの力によって次々に可能となってきており、費用対効果の高いマーケティングを目指す上でも、動画広告の出稿先として非常に有望なものとなっています。今後さらに多様に、可能性を広げていくと期待されるOOHの動画広告に注目し、ぜひその活用も積極的に検討してみてください。

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